自分以外の第三者が自分になりすまして、自分名義のカードローンを利用することを「なりすまし」と呼びます。
カードローン会社側も、なりすまし被害をなくすべく対策を講じていますが、名義人本人に落ち度があるとなりすましを許してしまいます。
この記事では、なりすましの方法やカードローン会社のなりすまし対策とともに、なりすまし被害に遭った時の対処法も紹介します。
■カードローンのなりすまし被害とは?
カードローンのなりすまし被害とは、自分以外の第三者が自分になりすまして、自分名義のカードローンを利用することをいいます。
住宅ローンとは異なり、貸金業者のカードローンは、担保や連帯保証人契約、連帯保証契約書が必要ありません。
申し込んでから最短1時間もあれば借入が可能で、コンビニATMなどでも利用できます。
その手軽さが人気ポイントでもあるのですが、その手軽さがかえって仇となり、なりすまし被害に遭う可能性も、他のローン融資より高くなっています。
1. 誰が自分になりすましてカードローンを利用するの?
「自分名義のカードローンを自分になりすまして利用する人って、どんな人なんだろう」と考える質問者も少なくありませんが、実は親子や夫婦、兄弟などの家族間、そして友人間など仲の良い関係者での被害が、なりすまし被害が最も多いそうです。
本人確認書類やローンカード自体を偽造してなりすます、というような、本格的な犯罪者が行なうなりすまし被害は、さほど多くありません。
●特に高齢者は被害に遭いやすい
特に、なりすまし被害の被害者になる可能性が最も高いのが、高齢者です。
例えば、カードローンを契約した高齢者がATM操作に戸惑っているときに、横から誰かが操作方法を教えているとしましょう。
一見「親切な人」と思ってしまいますが、実はその時、暗証番号を盗み見している可能性があるのです。
後ほど、ローンカードを何らかの方法で入手すれば、いつでもATMからお金が引き出せてしまいます。
また、高齢者の判断能力が不十分になる前に、高齢者本人が事前に選んだ代理人に代理権を与える契約をすることがありますが、その権利がないのに勝手に代理人として振る舞う「無権代理人」がなりすまし契約をするケースもあります。
2. 本人確認書類を置きっぱなしにした時に利用されるケースが多い
また、自分名義のローンカードを勝手に作られてしまう要因として挙げられるのは、本人確認書類を置きっぱなしにしたり、誰にでも分かる場所に置いたりしたりする時も多いようです。
消費者金融会社では、50万円未満の借入の場合、本人確認書類があれば申し込み可能なところが少なくありません。
本人確認書類の管理には、十分に注意を払うようにしましょう。
■なりすましでの借り入れは難しい!厳重ななりすましへの取り締まり
カードローンのなりすましに遭わないため、名義人である利用者本人が本人確認書類やローンカード、暗証番号の管理に留意するのはもちろんです。
しかし、貸金業者側や金融機関側でも、なりすましでカードローンを悪用されないために、厳重な対策を講じています。
ここでは、カードローン会社側が行なっているなりすまし対策を紹介しましょう。
1. 無人契約機の中は常に監視されている
無人契約機ならば簡単になりすましできると思っているかもしれませんが、無人契約機内は常に監視されています。
無人契約機は、申込者が本人確認書類だけ持って行けば、その中で申込から審査、契約手続きからカード発行まで行うことができ、併設されているATMからすぐに借入ができるので、非常に便利です。
「面と向かっては契約しにくい」と考えている方も、無人契約機ならばその不安も取り除けます。
確かに名前の通り、無人契約機の中に人はいませんが、監視カメラが付いていてしっかりと監視されています。
ただし、明らかに監視カメラとばれてしまうと申込者が緊張してしまうので、それと分からないように監視カメラが設置されています。
監視カメラの映像は、カードローン会社のオペレーターやスタッフが監視をしています。
その際、イライラする、落ち着かないなど挙動不審な行動をとっていると、監視しているオペレーターやスタッフに怪しまれてしまいます。
虚偽の申込をしている人は、挙動不審な行動をとる可能性が通常よりも高いため、審査落ちすることもあるのです。
2. 提出する本人確認書類は原則写真付き
無人契約機、インターネット、電話など、カードローンには様々な申込方法がありますが、申込方法にかかわらず、本人確認書類は提出しないといけません。
しかも、原則として顔写真付きの身分証明書でないといけないのです。
運転免許証やパスポートならば、本人確認書類として通用するところがほとんどで、住民基本台帳カード(顔写真付き)や個人番号カードでもOKとしているところが増えています。
無人契約機の場合、スキャンされた本人確認書類の顔写真と、監視カメラから送られてくる申込者の顔画像を、スタッフが照合しています。
これらの書類を持っていない方は、健康保険証でも大丈夫ですが、健康保険証には顔写真がないため、本人確認書類として十分ではありません。
写真がない本人確認書類を使用する場合には、1点だけでなく2点以上の書類を用意する必要がありますので、徹底しています。
3. 申し込みが完了すると、カードローン会社側から電話がくる
申し込みが完了すると、カードローン会社から意思確認電話がかかってくるのですが、これもある意味なりすまし対策です。
自分名義ではカードローンを契約できない専業主婦が、配偶者の運転免許証を使ってインターネットから配偶者名義で勝手に申し込もうとする可能性があります。
意思確認電話は、自宅、携帯電話、勤務先のいずれかですが、多くの方は自分名義の携帯電話番号を選択します。
ただし、専業主婦と配偶者では明らかに声色が違いますので、この時点でなりすましがばれてしまいます。
4. 在籍確認の電話が名義人の勤務先にかかってくる
また、在籍確認の電話も、なりすまし対策として有効です。
在籍確認とは、申込情報として入力した勤務先に、申込者が実際に勤務しているかを確認する審査です。
原則として、貸金業者や銀行の審査担当者が、勤務先に直接電話をします。
兄になりすまして弟が兄名義で勝手に申し込んだ場合、前述の意思確認電話はすり抜けてしまう可能性があります。
しかし、実際に兄の会社に電話がかかってきたら、弟は電話をとることができず、なりすましがばれてしまうのです(本人が不在でも在籍確認は完了してしまうので穴があるといえばあります)。
SMBCモビットは、WEB契約までできて電話連絡のない「WEB完結」を実施しています。
その場合も、写真付き本人確認書類、収入証明書類(源泉徴収票、確定申告書など)に加え、勤務先を証明する書類(社会保険証、給与明細など)の提出が求められ、かえって必要書類が多くなり、なりすましは困難となります。
5. 申込者の申告情報と信用情報の内容を照合する
そして、カードローンでは個人信用情報と申告情報の内容照合も行なわれます。
個人信用情報とは、個人のお金の借入状況や返済状況などを記録した情報で、信用情報機関によって管理されています。
申込者から申込を受けたカードローン会社側は、信用情報機関に申込者の信用情報を開示するよう請求します。
開示された信用情報を申込時の申告情報と照合するのですが、他社の借入件数や金額など、本人しか知らないような情報にズレが生じると、審査落ちの可能性が高まるのです。
■なりすまし被害に遭わないために気をつけるべきこと
以上のように、なりすまし被害を防止すべく、貸金業者側でもしっかりと対策をしています。
では、利用者側がなりすまし被害に遭わないためにはどうすればいいのか、説明しましょう。
1. 本人確認書類は厳重に扱う
まずは、本人確認書類を厳重に扱うことです。
特に、運転免許証やパスポートは、それさえあれば申し込みも可能となってしまいますので、誰にも分からないような場所に置きましょう。
持ち歩く際も、肌身離さず持ち歩いてください。
2. むやみに個人情報を公開しない
また、むやみに個人情報を公開しないようにしましょう。
運転免許を取得した嬉しさから、運転免許証の画像をそのままブログなどにアップしてしまう人が、たまにいます。
第三者がその画像をコピーしてしまえば、本人確認書類として使われてしまう可能性があります。
車のナンバーをカードローンの暗証番号にしている人もいますが、車の画像をナンバープレートともにアップすると、その時点で暗証番号がばれてしまうので、画像のアップロードには細心の注意を計りましょう。
■なりすまし被害に遭ってしまったときの対処法
カードローン会社も利用者本人も、十分ななりすまし対策を講じており、なりすましの可能性は以前よりかなり低くなっていますが、それでもゼロではありません。
ここでは、不幸にしてなりすまし被害に遭ってしまったときの対処法を紹介しましょう。
1. まずはカードローン会社側に連絡
まずは、被害者側がカードローン会社に連絡をしましょう。
「カードローン会社側から身に覚えのない請求書が届いた」と言ってください。
連絡をすれば、カードの利用が停止されますので、それ以上のなりすまし被害を防ぐことができます。
また、「警察に被害届を出してください」などと指示されますので指示通り被害届をだしましょう。
そして最も気になる疑問は、「被害額は誰が支払うのか」でしょう。
クレジットカードの場合、盗難保険や不正利用補償により、被害者側が支払うことはありません。
カードローンの場合、なりすましで契約されてしまって被害に遭った場合は、支払い義務が発生しないことがほとんどです。
ただし、自分で契約したカードを勝手に誰かに使われた場合は、支払いが免除されるとは限らない、というのが回答です。
債権者であるカードローン会社に対して、契約上の債務者である人が、なりすましであることを証明しないといけない可能性もあります。
2. カードローン会社に相談しても解決できない場合には専門家に相談
カードローン会社に相談をしても詐欺被害を解決できない場合には、専門家に相談するといいでしょう。
国民生活センターや消費生活センター、弁護士などです。
弁護士が最も権限が強いのですが、相談料を取られるのではと思っている相談者もいるかもしれません。
最近では、無料の法律相談を実施している弁護士もいますので、そういったところに行くといいでしょう。
■なりすましは必ずバレる
なりすましは必ずばれます。
家族が相手で自分になりすました場合も、自分と相手が結託してなりすましてキャッシングした場合(名義貸し)もです。
なりすましがばれると、債権者であるカードローン会社は、成りすました人や名義人に対して、債務不存在確認訴訟(債務の存在を確定させるための訴訟)や詐欺罪で訴訟を起こす可能性があります。
内容証明郵便などでその旨が送付されますので、受け取った場合も無視せず、弁護士などに相談するといいでしょう。
■まとめ
カードローン会社側の何重ものチェックによって、なりすましをして契約するのは非常に困難になりました。
しかし、なりすましの被害者に落ち度があったために、なりすましを許してしまうこともあります。
その場合は、まずカードローン会社に相談をして、それでも解決できない場合には弁護士などに相談しましょう。
また、名義人本人と第三者が結託をしてなりすましを許した「名義貸し」の場合には、双方が詐欺罪で訴えられる可能性もありますので、名義貸しは絶対にしないでください。