個人向けの融資といえば、広告やコマーシャルなどでも見かけるカードローンがあります。
では、個人ではなく事業者が利用できる融資にはどのようなものがあるでしょうか?
ビジネスローンも事業者が利用できる融資の一つですが、他の融資やカードローンとはどのような違いがあるのでしょう?
詳しく見ていきましょう。
■事業資金を調達するにはどんな方法があるか?
事業融資商品を提供している金融業者と言えば、やはり真っ先に銀行を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
しかし実際調べてみると、多くの機関に融資対象者を事業主とした貸付制度があることが分かります。
1.公的融資は低い金利が魅力だが…
日本政策金融公庫は政府が100%出資している政策金融機関です。
担保の有無など貸付条件によって実質年率は異なりますが、0.3%~2.95%という非常に低い金利で新規開業資金や運転資金の融資が受けられるのが魅力です(2017年6月20日現在)。
また、信用保証協会や商工会議所は直接融資をしてくれるわけではありませんが、金融機関への橋渡しの役割を担っています。
信用保証協会は銀行や信用金庫などの金融機関で借り入れをする場合に利用者の保証人となってくれる機関です。
融資額などに応じた保証料が必要になりますが(~2%程度)、中小企業や個人経営者など金融機関でのスムーズな借り入れが難しい事業者にとっては頼もしい制度です。
そして商工会議所では、経営指導を受けると担保や保証人なしで日本政策金融公庫の事業性融資を受けられるように仲介をしてもらえます。
こうした公的な機関を利用すると、非常に低い金利で融資を受けることができます。
しかし申し込みをしてから融資を受けられるまでに時間がかかる点がデメリットでしょう。
融資までには最低でも2週間、通常は1ヶ月から1ヶ月半程度の時間がかかると言われます。
2.審査が厳しい銀行融資
融資といえば銀行や信用金庫などの金融機関を思い浮かべる人が多いと思います。
金融機関の融資は保証付融資とプロパー融資とに大別されます。
保証付融資とは、先ほどご紹介した信用保証協会が保証してくれる融資のことをいいます。
それに対して、プロパー融資とは各々の金融機関で独自に行なっている融資を指します。
プロパー融資は保証付融資と比べて審査のハードルが高く、特に都市銀行や上位地方銀行などでは事業を始めて日が浅い場合や、財務内容に不安があるような中小企業などのように申込者の信用度が低い場合には融資を受けるのはかなり難しいでしょう。
地銀などでは融資担当者との信頼を作り上げることも非常に重要なポイントとなります。
審査は厳しいですが、金利はおよそ1%から5%程度と低くなっています。
そのほかに融資事務手数料が必要になりますし、保証付融資の場合は更に保証料が加算されます。
公的融資よりは若干金利は高い傾向にありますが、不動産を担保とする不動産担保融資を利用すれば、更に低い金利での借り入れも可能でしょう。
しかし契約書などを始め、必要書類がとても多い点や融資までにかかる時間が長いのがデメリットです。
プロパー融資で支店決済が可能な金額であれば2週間程度、プロパー融資でも本部決済の案件や、保証付融資の場合であれば融資までに1ヶ月程度かかります。
3.金利が一番高いビジネスローン
ビジネスローンは法人や個人事業者向けの融資で、銀行、消費者金融、信販会社などで取り扱いがあります。
保証会社が保証人になっているので原則として担保や保証人は不要で、比較的事業歴が浅くても融資を受けることができます。
銀行のビジネスローンは、一般の銀行融資とは別の商品だと考えてください。
例えて言うなら銀行融資がオーダーメイド商品だとすれば、ビジネスローンはパッケージ商品のようなものであるともいえるかもしれません。
融資までにかかる時間は借り入れる金融機関よって異なりますが、消費者金融のビジネスローンなどでは即日融資に対応している商品もあり、そのスピード感が大きなメリットとなっています。
ただし、そうした利便性と引き換えに金利が高くなっている点がデメリットでしょう。
ビジネスローンの金利は、各金融機関が取り扱っているカードローン金利とほぼ同程度となっていますので、他の事業資金調達法と比べてかなり利息負担が大きくなるといえます。
| 公的融資 | 銀行融資 | ビジネスローン | |
|---|---|---|---|
| 金利の目安 | 0.3~3.0%程度 | 1.0~5.0%程度 | 消費者金融 3.0~18%程度銀行 2.0%~ |
| 借入限度額 | ~7200万円 | 数十億円 | 消費者金融 ~800万円程度銀行 ~5000万円程度 |
| 融資までの時間 | 1ヶ月から1ヶ月半程度 | 2週間~1ヶ月程度 | 即日~2週間程度 |
■ビジネスローンのメリット
確かに公的融資や銀行融資と比べると金利は高いものの、ビジネスローンには他の事業資金調達法にはないさまざまなメリットがあります。
1.融資までにかかる時間が短い
ビジネスローンの一番のメリットは、やはり融資までにかかる時間が短いことでしょう。
公的融資や銀行融資ではどうしても審査にある程度の時間が必要になってきます。
消費者金融のビジネスローンであれば審査スピードはかなり迅速で、振込融資に対応していることも多く即日~数日での融資が可能です。
また銀行のビジネスローンでも一般的な銀行融資より審査時間はかなり短くなっています。
2.担保・保証人が不要
銀行の融資では担保や保証人が必要になってくる場合もありますが、ビジネスローンでは原則として担保や第三者保証人は不要となっています。
ただ、法人の場合は代表者が連帯保証人となることが一般的です。
契約者が準備する必要書類が少なくて済みますので、申し込みにかかる手間や時間を省くことができます。
3.審査基準が緩やか
他の資金調達法の審査は人によって行われ、様々な観点から融資が可能かどうか検討されますが、 ビジネスローンの審査はスコアリングシステムによって行われます。
金利が高くなっている分、審査自体は比較的簡易で基準も緩やかであると言えます。
4追加融資が可能
ビジネスローンは、カードローンのように継続的な追加融資が可能になっています。
返済によって融資枠に空きができれば、金融機関のATMはもちろん、提携銀行やコンビニのATMなどから融資の枠内で手軽に繰り返し借り入れができます。
他の資金調達法では一旦融資を受ければ後は返済をするだけで、それ以降の追加融資はすぐに受けられる可能性は低く、また厳しい条件をクリアしなければなりません。
■ビジネスローンのデメリット
ビジネスローンは融資に対するスピード感や審査が比較的ゆるやかであることが魅力になっています。
そのメリットを極力減らすことのない借り入れ先をどのように選択するかがポイントになります。
1.金利が高い
公的融資や銀行融資と比べて金利が高いという点が、なんといっても最大のデメリットです。
カードローン並みの金利となっていることが多く、消費者金融のビジネスローンでは3.0%~18%程度、銀行のビジネスローンでは2.0%程度以上となっています。
銀行のビジネスローンの場合は、審査によって金利が決められるので上限金利は設定されていないことが多いです。
2.借入限度額が低い
審査の基準が緩やかである分、借入できる最大限度額が低くなっています。
手軽に借り入れできる消費者金融のビジネスローンでは特にその傾向が強いといえます。
利用限度額は消費者金融のビジネスローンでは500万円~800万円、銀行のビジネスローンなら3000万円~5000万円程度に設定されているケースが多くなっています。
■ビジネスローンとカードローンの違い
ビジネスローンは融資商品としてはカードローンと似ている部分が多く、 カードローンの事業資金版ともいえそうな気もしますが、どのような点でカードローンとは異なるのでしょうか?
そうした疑問点も含めてみていきましょう。
1.資金使途の違い
ビジネスローンとカードローンでは資金使途が異なります。
一部大手消費者金融ではカードローンで借り入れた資金を事業性資金として利用できるケースもありますが、特に銀行のカードローンは個人向け融資商品であり、事業性資金には利用できないことが商品説明書に明記されています。
事業資金はカードローンではなく、専用の事業資金融資であるビジネスローンを利用する必要があります。
2.総量規制の対象であるか例外になるか
消費者金融のカードローンは総量規制により借入額の合計は年収の3分の1までに制限されています。
ただし、消費者金融のビジネスローンでは個人事業主に限って総量規制の例外となり、借入計画書などの書類を提出することで年収の3分の1を超える借り入れが認められます。
法人事業者の場合には、総量規制の例外適用の対象外になりますので注意が必要です。
また、銀行など消費者金融以外の金融機関から融資を受けるには時間がかかります。
融資が可能であるという審査結果が出ていても実際に融資されるまでの間に資金が必要になる場合もあるでしょう。
そうした場合に、つなぎ資金として消費者金融から一時借り入れするお金は総量規制の例外になり、年収の3分の1を超える借り入れが可能となります。
ただし融資が決定している場合に限ります。
3.届出書類の違い
個人融資商品であるカードローンは申し込みに際して、基本的には運転免許証などの本人確認書類、借り入れ金額や借り入れ状況によって所得証明書や給与明細などの収入証明書が必要となります。
ビジネスローンの場合、法人経営者なら本人確認書類と登記事項証明書、原則として2期分の決算書が必要です。
また個人事業主の場合なら、本人確認書類と原則として2年分の確定申告書などが必要になります。
また身分証明書類や事業収入関係書類などのほかに法人経営者、個人事業主に共通して必要な書類として、事業内容確認書、事業計画書、納税証明書などがあります。
また、ビジネスローンによっては印鑑証明書の提出を求められることもあります。
■本当にビジネスローンを利用するのがベストか
法人向けや個人事業主向けの事業用融資商品を提供している機関は数多くあります。
時間や手間をかければ低金利の公的融資を利用することができるかもしれません。
事業者の現在の状況に照らして、金利が高いというデメリットを引き受けてでもビジネスローンを利用することが妥当であるかどうか、それとも他の事業用融資を利用した方が良いのかはしっかり考える必要があります。
安定した売掛金があるという状況なら、売掛金を買い取ってもらうファクタリングを利用するという方法もあります。
1.資金を早急に調達する必要があるか
資金はどうしても早急に調達する必要があるでしょうか?
資金不足になった時の備えのために借りる、という程度の緊急性なら金利の低い公的融資や銀行融資を利用する方が良いでしょう。
あるいは手持ちの資金を事業資金に回し、生活費として低金利で融資までの時間が短い銀行カードローンなどで借り入れをするという方法もあります。
2.短期間のうちに返済できるかどうか
他の事業向け融資と比べて、申し込みの手間の少なさや融資スピードの速さという点でビジネスローンは大変優れていますが、金利の高さがネックとなります。
メインの事業資金調達法としてではなく、近いうちにまとまった資金が入ってくることが分かっている場合や、一時的なつなぎ資金として早期に返済できる見込みがある時に限って利用するのが上手な使い方ではないでしょうか?
■まとめ
ビジネスローンは、中小企業や個人事業主が一時的な資金繰りをするには大変便利な制度です。
ただし、長期的な融資や高額の融資を希望する場合にはたとえ時間がかかっても金利が低い公的融資や銀行融資を利用することをおすすめします。
それぞれの融資のメリットを理解して、効果的に借り入れしましょう。