カードローンにおける信用情報は、カードローンを持っていて、実際にカードローンでお金を借りで毎月返済しているなどのカードローン利用時にはあまり気にならないものです。しかし、カードローンに新たに申し込むとき、カードローン枠をもっと増やしたい(増枠)とき、返した後、住宅ローンや車のローンを組むときなどに信用情報がどのような状態かというのは非常に重要な事です。
ただ、普段あまり気にしないものなので重要視する人は少ないですが、普段から信用情報を気にかける事によって、もしもの時のカードローン増枠、自動車、不動産ローン申し込みの時にスムーズに審査に通るようにしましょう。
目次
信用情報はカードローン等を申し込む時に見られる情報
信用情報とは、本来「信用取引を行う時に参照する情報」の事を指します。
この信用取引というのは、具体的に言うと、クレジットカードやローンで買い物をすること、クレジットカードのキャッシング枠を利用してお金を借りる事、銀行、消費者金融などの金融機関からお金を借りる事を指します。つまり、現金を用いずに買い物する事や、お金を借りる事を指します。その信用取引を行う際(もしくは信用取引を行う為のクレジットカードやカードローンを契約する際)、金融機関は信用情報を参照するのです。
そしてこの利用者の信用情報は、各社に保管されているのではなく、都道府県や市区町村といった公共機関に保管されている訳でもありません。全国に三つある信用情報機関(株式会社日本信用情報機構、株式会社シー・アイ・シー、株式会社日本信用情報機構)のいずれかで保管されており、私たちが意図的に変更する事が出来ないようになっています。ヤミ金などを除いた金融機関をはじめ、様々な会社がこの信用情報機関のどれかに加盟しているので、携帯電話の契約やクレジットカードを利用した事がある人から借金を返せずに債務整理中の人まで様々な情報が信用情報機関に載るようになっています。
どのような情報が載っているかについては後述しますが、金融機関(銀行も消費者金融も)は「貸したお金を利子をつけて返してくれるのか」という事を知りたいので、過去に借金を踏み倒していないか、弁護士と一緒に債務整理中ではないか、他社でカードローンを使いすぎていないかなどをチェックするのです。

アコム申込時の信用情報参照に関する記述
こちらはアコムの申し込み画面で確認できる「個人情報の取り扱いについて」という文章です。こちらに記載があるとおり、アコムは株式会社日本信用情報機構と株式会社シー・アイ・シーの二つに登録されている情報を照会する事で申し込んだ人がお金を返す事が出来るのかというのをチェックしています。それぞれの信用情報機関の情報をどれくらいさかのぼるのかが記載されています(申し込みを過去にしているかどうかは半年さかのぼり、支払いの延滞等をした事があるかは五年さかのぼって確認します、という内容です)。

三菱東京UFJ銀行のカードローン申込時の信用情報参照に関する記述
こちらは三菱東京UFJ銀行のカードローン(バンクイック)申し込み時に書かれている内容です。三菱東京UFJ銀行は三機関全ての情報を参照する事が分かります。特に金融機関が見ているのは(4)債務の支払いを遅滞等した事実、つまりお金の支払いが遅れていないかどうか、という事項です。
信用情報が傷ついているとどうなるか
延滞などの良くない情報(ネガティブ情報、金融事故情報)が信用情報についている場合、新たに信用取引を行う時に不利に働く場合が多いです。信用情報の傷つき具合にもよりますが、以下のような弊害が起こります。
- クレジットカードに新たに申し込む事が出来ない
- クレジットカードが自動更新とならずに有効期限で契約終了となる
(更新日になっても更新カードが届かないなど) - 住宅、自動車、教育などのローンを申し込む時に審査で落ちる可能性が高まる
- 携帯電話の機種代分割契約や、通信契約が出来ない
- カードローンが利用停止になる
- クレジットカードが使用不可となる
- キャッシング枠の増枠を断られる
- キャッシング枠がなくなる
どの段階まで信用情報が傷ついているか、その時にどのような信用取引を行おうとしているかによって変わるので、一概には言えませんが、今後の生活で不利益を被る事が多くなります。例えば、海外旅行に行ったときに、たまたま引き落としが出来ておらずクレジットカードが止まってしまい、海外キャッシングを利用したり、ショッピングを利用したりすることが出来ないなどの致命的な不利益を被ってしまう場合もあります。
もちろん信用情報が傷ついて利益を得る事はありませんので、借りる際は計画的に借り、返せる範囲のみ借りるようにしましょう。
信用情報機関で信用情報を保管している
日本には三つの信用情報機関が存在しています(指定信用情報機関ともいう)。これらの機関は全て信用情報の収集を業務としており、加盟する金融機関から要請があった場合に、その情報を開示する機関として存在しています。
信用情報はもちろん重要な個人情報なので、誰でも情報を見られる訳ではありません。それぞれの信用情報機関が持っている情報は、それぞれの信用情報機関に加盟した金融機関しか確認する事が出来ません。例えば、どの信用情報機関にも加盟していないようなヤミ金業者が信用情報を見る事は出来ません。
ただ、それでも「なんで勝手に情報を漏らしているんだ」と言う方がいらっしゃいますが、貸金業者だけではなく、世の中の様々なお金の取引を行う会社が信用情報機関と提供しており、契約時に「信用情報機関に情報を提供します」という書面に同意しているので、合法的に情報を共有していると認識しましょう。

ドコモの契約における個人情報の取り扱いに関する記述
例えば、こちらはNTTドコモの携帯電話を契約する際に確認する書面で、個人情報の取り扱いについて書かれた文面です。要するに「信用情報は加盟しているCICに提供します」という事が書かれています。
日本における信用情報機関は三つ
今現在日本にある信用情報機関は、株式会社日本信用情報機構(JICC)、株式会社シー・アイ・シー(Credit Information Center 通称CIC)、全国銀行個人信用情報センター(全国銀行協会)の三つです。JICCは貸金業者の為の信用情報機関、CICはクレジットカード会社の為の信用情報機関、全国銀行個人信用情報センターは銀行の為の信用情報機関だったため、加盟している金融機関に偏りがありますが、今は全ての信用情報機関は提携して情報をやりとりしているので、同じ情報を持っていると考えて良いでしょう。
JICC | CIC | 全国銀行個人信用情報センター |
貸金業者がメイン | クレジットカード会社がメイン | 銀行がメイン |
公式ホームページ JICC / CIC / 全国銀行個人信用情報センター
金融機関がどの信用情報機関に加盟しているかはあまり関係ない
金融機関がどの信用情報機関に加盟しているかを調べてみました。
JICC | CIC | 全銀信 | |
アコム | 加盟 | 加盟 | 非加盟 |
三井住友 | 加盟 | 加盟 | 加盟 |
三菱UFJニコス | 加盟 | 加盟 | 非加盟 |
SMBCモビット | 加盟 | 加盟 | 非加盟 |
アイフル | 加盟 | 加盟 | 非加盟 |
オリコ | 加盟 | 加盟 | 非加盟 |
前項の説明の通り、銀行系は全国銀行個人信用情報センターに加盟し、それ以外はJICCとCICに加盟するという傾向があるようです。
金融機関は加盟している信用情報機関の情報を照会していると書きましたが、信用情報機関の三つはそれぞれ提携して情報を密にやりとりしているので、金融機関がどの信用情報機関に加盟してるかどうかというのはあまり関係ありません。例えば、CICに加盟しているクレジットカード会社で支払い延滞をしてしまい、信用情報が傷ついた場合、その情報はJICCや全国銀行個人信用情報センターにも共有されるので(CRINという共有システムがある)、次に利用したいクレジットカード会社がCICに加盟していないとしても延滞の情報はばれてしまいます。
信用情報機関はクレジットやローンに関する様々な情報を最大5年保管している
信用情報機関が保管している情報は、信用取引(携帯電話、車ローン、クレジットカード、カードローンなど)に関する全ての記録は全てされていると考えて良いでしょう。ただし、それが永遠に記録されるわけではなく、期限が決まっています。保管期限の目安としては、契約前の申し込み情報など軽い内容の記録は半年、契約内容など重要な情報の記録は5年と考えておきましょう。
- クレジットカード、ローンに申し込んだ情報(最長半年保管)
クレジットカードやローンに申し込んだときの名前、生年月日、電話番号、契約する会社クレジットカードやローンの名前、契約金額(クレジットカードなら枠)、支払い回数 - クレジットカード、ローン契約時の個人情報(最長5年保管)
クレジットカードやローンを契約したときの名前、生年月日、性別、郵便番号、住所、電話番号、勤務先名、勤務先電話番号、本人確認書類(運転免許証、保険証など) - クレジットカード、ローン契約内容(最長5年保管)
契約した会社、契約日、どのような契約をしたか、支払い回数や限度額、契約終了予定日 - クレジットカード、ローン契約の支払い状況(返済状況)(最長5年保管)
いつ支払ったのか、いつ返済する予定なのか、どれくらいローンが残っているか、毎月どれくらい支払っているのか、どれくらい返したか、延滞や破産をしていないか(事故、異動歴といいます)、延滞したならいつしたのか、いつ終わったのか - クレジットカードキャッシング、カードローンの記録(借り入れ状況)(最長5年保管)
いつ借りたか、全部でどれだけ借りているか
消費者金融系カードローン会社は、延滞などの履歴(事故記録)の他に、今現在キャッシング、カードローンの利用限度額の合計がどれくらいあるのかという事にも注視します。消費者金融業者が遵守しなくてはならない法律「貸金業法」に総量規制という項目が有り、これは年収の3分の1を超える借り入れを禁止しているからです。申込先が消費者金融である限り、年収の3分の1以上借りる事は不可能なので、どうしても借り入れを行いたい場合は銀行が発行するカードローンを利用しましょう。
事故歴(異動歴)が最も見られる(延滞、債務整理など)
信用情報機関を紹介する金融機関が最も重要視しているのは「支払いを滞りなく行っているか」という事です。支払いが滞ったという信用情報の事を事故情報、異動情報、異動歴などと言います。
異動歴で重い扱いのものは支払い延滞の他に、債務整理、強制解約、自己破産(破産申立)、保証履行、債権譲渡、債権回収などがあるのでこちらを簡単に解説します。これらはどのステータスがついたとしても、その後、カードローンなどの信用取引をする事が非常に困難になります。
- 債務整理
債務(借金、お金を返す義務の事)を全うする事が出来なくなり、弁護士、司法書士、裁判所などの力を借りて、金利を調節してもらったり、減額してもらったりすることで借金を返す道を目指す制度の事です。この異動歴がつくとその後、完済して消えるまで5年ほどはカードローン等を作る事は難しくなります。債務整理にはいくつか種類が有り、任意整理、民事再生、自己破産と、段階別に分かれています。 - 任意整理
債務整理の一つです。ある程度の収入がある人が債務整理を行うのであれば、任意整理となります。将来的な金利や、支払いが遅れた遅延損害金をなくし、元本を三年で返しますという和解を貸金業者と行う事です。弁護士や司法書士が行います。 - 個人民事再生(個人再生)
債務整理の一つです。安定した収入はあるものの、財産が少なく、元本を返す事が出来なそうな人に適用されます。借金が減額され、減った額を三年で返すという和解を貸金業者と行うというものです。減る額は借りている借金によって変わりますが、おおよそ10分の1~借金全額を支払います。返済の金額によって小規模個人再生か給与所得者等再生かのどちらかの方法をとります。 - 自己破産(破産申し立て)
債務整理の一つです。財産がないために支払い義務を果たす事が出来ないと裁判所に認めてもらって、借金を返さなくても良い状態(免責状態)にする制度の事です。その後、カードローン、キャッシング、ローンなどほぼ全ての信用取引が5年は出来なくなるだけでなく、生活必需品を除く20万円を超える財産は全て処分され、警備員等の職業に就く事が出来なくなります(資格制限という)。債務整理の中では最も重大な救済措置と言えます。 - 強制解約
クレジットカードや携帯代金支払いで料金未納のまま返済をせずに放置し、数ヶ月たったところでクレジットカード会社、携帯電話会社が行う措置です。クレジットカードは全く使えなくなり、カードローンは借り入れが出来なくなり、携帯電話は通話、インターネットが出来なくなります。携帯電話は通話が出来ないのですぐに強制解約された事に気づきますが、クレジットカードはいつのまにか強制解約になってしまい、使おうとしたときに気づく、という事もあり得ます。ただし、強制解約の前には必ず何らかの連絡が契約会社から来るはずなので、きちんと対応すればまず強制解約はされません。 - 保証履行
保証債務履行とも言います。カードローンなどを利用する際は、カードローンを発行している金融機関の審査だけではなく、保証会社の審査も受けます。その保証会社の役割というのは、万が一、借りた人(債務者)が返す事が出来なくなってしまった場合に、立て替える、つまり借金を保証することなのです。つまり、保証履行(保証が行われるという意味)とは、借りた人が返す事が出来なくなり、保証会社が保証をした事を指します。代位弁済という表現をする場合もあります。 - 債権譲渡(債権回収)
債権というのは、貸した人がお金を返してもらう権利の事です(返さなければいけない義務を債務という)。債権は本来、クレジットカード会社やカードローンの会社が持つ権利ですが、債務者が支払いを滞らせて、回収不可能になった場合、他の債権回収業者に債権を譲る場合があります。これを債権譲渡と言います。ちなみに債権回収を行う事が出来るのは債権管理回収業の営業を法務大臣から許可を得た業者だけです。それ以外で債権回収を謳っている業者がいるとしたら、詐欺の可能性もあるので注意しましょう(法務省債権回収業者一覧)。
信用情報は開示してもらう事が可能
加盟していなければ見る事が出来ない信用情報ですが、その信用情報を持つ本人であれば開示請求をする事で内容を確認する事が可能です。手数料は500~1000円で、信用情報機関によって開示請求方法や支払い方法が異なりますので、注意しましょう。申し込み方法は郵送で 開示請求書を送るだけではなく、インターネットや窓口で発行できる機関もあります。
JICC | CIC | 全銀信 | |
請求 方法 |
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支払い 方法 |
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金額 |
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※定額小為替(ていがくこがわせ)とは郵便局で買う事が出来る証書のことです。
信用情報開示報告書例
申し込みを行うと、以下のような開示報告書が手元に届きます。
こちらで自身の借り入れ状況がどのように評価されているのかを確認しましょう。
カードローンの信用情報で勘違いされがちな注意点
完済するだけではダメ。必要ないカードローン等は解約するべき
例えば、車ディーラーと契約して車を購入した場合、契約というのはその時の一度だけというイメージですよね。同様に、カードローンを契約した際も、カードローンを利用している時だけ契約となり、カードローンの借金を全て返し終わったら勝手に解約されると勘違いしている方が多いようです。
しかし、カードローンは完済しただけでは、解約とはなりません。解約の意思を金融機関に伝えるまで自動更新である場合が多いです(包括契約といいます)。そしてカードローン会社との契約が残っている場合、住宅ローン、自動車ローンの審査で悪影響を与えてしまう可能性があります。
カードローンというのは非常に便利なもので、借りられる枠がある場合はいつでもどこでも借りる事が出来てしまうので、車のローン会社からすれば「もしかしたらいつ借金をしだすか分からない」ということでローン審査を通すのに躊躇する可能性があるのです。
不要なカードローンは減らし、複数カードローン会社と契約している場合は、一つにまとめるなどして、出来るだけ枠を小さくしておく事が望ましいです。
ブラックリストというものは存在しない
「自分はブラックリストに載っているのではないか」と不安に思う人が多いようで、よく質問をされます。しかし、信用情報でいえば、そこに名前が載っているだけで全ての金融機関が拒否してしまうようなブラックリストというものは存在しません。
あるのは先に挙げた信用情報機関に登録されている個人の信用情報リストぐらいなのです。またそれらの信用情報リストには、「この人はブラックだ」、「この人はホワイトだ」という事が記載されているわけではなく、あくまで「いくら借りたか」「全部でいくら借りているか」「いつに総額いくらの借金のうち、どれくらい返したか」というような事実が掲載されているだけなのです。
そして、その情報をブラックととるか、ホワイトとるかはそれを参照した金融機関次第なのです。例えば、一ヶ月支払いが遅れた記録が残っていたとして、ゴールドクレジットカード会社はその遅れをブラック情報と認識して、審査を通さないようにするでしょうが、一円でも多く貸したい中小貸金業者は「一ヶ月遅れでも他ではしっかり返している。安定的に借りてくれそうだ」という事で審査を通すかもしれません。受取手にどうとられるかで変わるというのは覚えておきましょう。自身の信用情報に自身がない場合でも、借りられる場合があります。
ただ、そうはいっても、自己破産などの債務整理中、債権回収中などの情報は多くの金融機関が忌避するべき記録なのでそのようなステータスがつかないような努力は必要です。
返済延滞以外にも信用情報が傷つく事もある(申込ブラックなど)
あまり知られていないのはお金を返さない以外にも信用情報が傷つく事があるという事です。それは「同時期に様々な信用取引を行おうとする」事です。具体的に言えば、数ヶ月の短い期間で複数のクレジットカードを申し込んだり、高額なローンを組んだりする場合、信用情報に良くない情報が載ってしまう可能性があります。申込ブラックと言われるものです。
例えば、限度額が大きなクレジットカードがほしくて、年会費が高めのクレジットカードを申し込んだものの、年収の制限があって落ちてしまった申込者が、「じゃあ普通のクレジットカードでいいや」ということですぐにクレジットカードに申し込んでしまうと、信用情報にはその申し込んだ記録が半年間保管されますので、それを見た金融機関が「こんな短期間でいきなり融資が必要になっている場合、お金に困っている可能性が高い。審査は見送ろう。」となってしまう場合があります。
もしクレジットカード等に落ちてしまっても、すぐに申し込む事はせず、少し様子を見るのが良いでしょう。
信用情報は信用情報機関に登録されているものだけではない(社内ブラック)
これもちょっとした落とし穴なのですが、信用情報が信用情報機関にだけ保管されているものと勘違いされている方も多いです。延滞を完済してから5年経てば全てきれいになると思われがちですが、それは違います。
信用情報というのは信用情報機関に提供するのはもちろんですが、各社ともに自社で信用情報を管理しています。例えば、○○銀行のカードローンで大きく信用情報を傷つけてしまった後、完済して、5年たったから、別の金融業者でカードローンを申し込んだが落ちてしまい、確認してみたら○○銀行のグループ会社の貸金業者だった、という事はあり得ます。
今は規制緩和がされており、銀行もカードローンや、クレジットカード、口座など様々なサービスを展開しているので、グループの信用情報を共有している可能性はあります。だからといって出来る事はありませんが、信用情報機関以外にも情報が管理されている可能性がある事を認識しておきましょう。